はじめに
今回は、Databricksの年次イベント「Data + AI Summit」で開催されたセッション
「Accelerating Analytics: Integrating BI and Partner Tools to Databricks SQL」 の内容をもとに、Databricksが主要なパートナー製品とどのように連携可能か、また現場の分析や業務プロセスをどのように加速させているのかについて、最新の取り組みをご紹介いたします。
Databricksのパートナーエコシステムとは?
Databricksは、BI(Business Intelligence)、ガバナンス、機械学習、インテグレーションなど幅広い分野でパートナーとの連携を進め、エコシステムを拡大しています。
特にPower BI、Tableau、Looker、Sigmaなどの主要なBIツールとの統合強化に注力しており、ユーザーは使い慣れたツールを通じてDatabricksのデータをシームレスに活用できるようになってきました。
また、Databricksの「パートナーコネクト」機能を活用することで、UIベースで簡単に統合設定が可能となり、初めてのユーザーでもスムーズに連携を開始できます。
主要パートナーとの最新連携アップデート
Power BI連携の進化
昨年リリースされた「Unity CatalogからPower BIサービスへの公開」機能により、Databricks上のテーブルやスキーマをPower BIのセマンティックモデルとして直接公開できるようになりました。
さらに今年は、Lakeflowジョブ内でPower BIタスクを追加できるようになり、データパイプラインの終点で自動的にPower BIへの公開が可能に。
分析データの最新化がよりスムーズに行えるようになりました。現在はパブリックプレビュー中で、今後は増分更新やパフォーマンス向上も予定されています。
DBTとの連携強化
DBT(Data Build Tool)は、Databricksにおける重要なパートナーの一つです。Lakeflowジョブ内でDBTコアタスクを直接実行できるようになり、DBT Cloudでも同様の機能が順次導入されています(現在はプライベートプレビュー中)。
これにより、DBTユーザーはDatabricks上でより柔軟にデータ変換やパイプライン構築を行えるようになります。
Tableauとのシームレスな連携
Tableau Cloudとの連携も大幅に進化しました。Unity CatalogからTableau Cloudへの公開が簡単になり、対象のテーブルを選んで「Tableauで探索」をクリックするだけで、ブラウザ上ですぐに分析を始めることができます。
従来のような複雑な接続設定が不要となり、分析までの時間を大幅に短縮できます。
スプレッドシートとの連携強化
特にビジネスユーザに根強い人気を誇るスプレッドシート(Google SheetsやExcel)との連携も進化しています。
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Google Sheets用Databricksアドオン
Google Sheetsから直接DatabricksのSQLウェアハウスに接続し、SQLクエリの結果をシートに即反映。CSVのダウンロードやインポート作業が不要となりました。 -
Excelアドオン(近日公開予定)
ODBCドライバのインストール不要で、アドオンを入れるだけでExcelからDatabricksのデータを直接活用可能になります。
Power Platformとの連携強化
Microsoft Power Platform(Power Apps、Power Automate、Copilot Studio)との連携も大きく前進しています。
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Azure Databricks向けコネクタのパブリックプレビュー開始
カスタムコネクタやデータコピーを必要とせず、ライブ接続でガバナンスを維持したままアプリ開発が可能になりました。 -
導入事例の紹介
美容ブランドのCoty社やイギリスの電力会社UK Power Networks社が、Databricksとの統合によって業務効率化やリアルタイム情報提供を実現しています。
API・ドライバ関連のアップデート
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新しいオープンソースJDBCドライバ
既に提供が開始されており、今後はオープンソースとしても公開される予定です。 -
Microsoftと共同開発のADBCドライバ
Apache Arrowベースの次世代データベース接続ドライバ。Power BIでの高速処理やDAX演算子のプッシュダウン対応により、全体的なユーザー体験の向上が期待されます。
デモで紹介された主なユースケース
- Google Sheets連携:SSOで接続し、SQLクエリ結果を直接シートに出力
- Power BIタスク:Lakeflow内で自動的にPower BIへ公開、メタデータも同期
- Tableau連携:Unity CatalogからTableau Cloudへ即時公開し、ライブ接続で分析
- Power Platform連携:Power AppsでDatabricksのデータを活用、Power AutomateやCopilot Studioとも連携可能
まとめ・所感
Databricksは、主要なBIツール、スプレッドシート、Power Platformとの連携を加速度的に強化しており、分析やアプリ開発現場での生産性向上に直結しています。
特にノーコード/ローコードツールとの連携や、ガバナンスを維持したライブ接続の実現は、実務での使い勝手に大きなインパクトを与えていると感じました。
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2025年6月9日〜12日に開催された
Databricks Data + AI Summit 2025 の最新情報やセッションレポートをまとめた
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※本記事はセッション内容をもとに筆者が要約・再構成したものです。記載内容に誤り等があればご指摘いただけますと幸いです。