効果的なレポート分析、ChatGPTの成功するための評価と戦略

以前の記事では、ChatGPTが膨大な文章を適切に要約し、ビジネスをサポートすることについて紹介しました。今回の記事では、複数のレポートを横断的に比較分析することができるChatGPTの凄さについて、実際のデータを使って解説します。

本記事で利用するデータは、JICAの調査レポート「アフリカ現地課題確認調査(スタディツアー)インフラ(都市交通・経済回廊)参加企業報告書」です。このレポートでは、モザンビークとナイジェリアを対象にした調査が行われています。

レポートについて

このレポートは、JICAが2019年に11日かけてモザンビークとナイジェリアに7つの日本企業をスタディツアーしたレポートのインフラ(都市交通・経済回廊)部分となります。

7つの企業がそれぞれレポート3-4枚程度にまとめた報告書を1つにしたものとなっており、内容はモザンビークとナイジェリアの両方について触れています。

スタディツアーには7つの日本企業が参加しましたが、本記事ではそのうちの5つの企業のモザンビークに関する部分に焦点を当てて分析していきます。

ChatGPTは、大量の情報を素早く処理し、複数の企業やプロジェクトを横断的に比較分析することができるAIです。これにより、従来は人間が行っていた膨大なデータ分析や調査業務が効率化され、より正確で迅速な判断が可能になります。

ChatGPTの横断的比較分析能力は、従来の方法では困難だった判断や評価を行う上で大きな助けとなります。企業や政府機関は、このAI技術を活用することで、より迅速かつ正確な意思決定が可能になり、新たなビジネスチャンスや発展の道筋を見つけ出すことができるでしょう。

進め方

2023年5月現在、ChatGPTには一気に数十枚のレポートを読ませることは出来ないので以下のように進めています。

  1. 5つの企業のレポートを読み込ませて要約をさせる
  2. 要約した内容をベースに、各社がどんな強みで進出に対する期待値をまとめる
  3. まとめたものをベースに聞きたいことを質問する

今回では以下のようなことを聞きました。

5社で会社としてモザンビーク進出でビジネスチャンスが大きい順に並べて点数と理由も教えてください。また、JICAの目線で支援したほうが上手くいくと思われるよい順に並べて点数と理由も教えてください。

各社のビジネスチャンスとJICAから見た評価

自社がモザンビーク進出でビジネスチャンスが大きい順

  • 中外油化学工業株式会社 8.5点
    理由: モザンビークは農業に依存しているため、農業用機械や肥料の提供が需要が高いと考えられます。また、技術移転や人材育成にも貢献できるため、ビジネスチャンスが大きいと評価しました。
  • 音羽電機工業株式会社 8点
    理由: 電力インフラ整備が急務であり、音羽電機工業の技術が現地で役立つと考えられます。また、電力供給の安定化に貢献することで、他の産業への波及効果も期待できます。
  • 株式会社田中衡機工業所 7.5点
    理由: 農業や工業の発展に伴い、計量器の需要が増えると予想されます。また、正確な計量器の普及が品質管理や生産効率向上に貢献できるため、ビジネスチャンスがあると評価しました。
  • 株式会社フランクジャパン 7.5点
    理由: 物流やトレーサビリティの課題解決に貢献できる可能性がありますが、現地の法制度やインフラ整備の課題に対応する必要があるため、ビジネスチャンスはやや限定的と評価しました。
  • 辻プラスチック株式会社 7点
    理由: プラスチック製品の需要が増えると予想されますが、環境への配慮やリサイクル技術の普及が課題となるため、ビジネスチャンスは他社に比べてやや低いと評価しました。

JICAの目線で支援することで上手くいくと思われる順

  • 音羽電機工業株式会社 9点
    理由: 電力インフラ整備は国家的なプロジェクトであり、JICAの支援が効果的に働くと考えられます。また、電力供給の安定化による他産業への波及効果も大きいため、JICAの支援が上手くいくと評価しました。
  • 中外油化学工業株式会社 8.5点
    理由: 農業の発展がモザンビークの経済成長に直結するため、JICAの支援によって農業用機械や肥料の普及が進められれば、大きな効果が期待できます。また、技術移転や人材育成にも寄与できるため、支援が上手くいくと考えました。
  • 株式会社田中衡機工業所 8点
    理由: 計量器の普及は農業や工業の品質管理や生産効率向上に貢献します。JICAの支援を受けることで、現地のニーズに合った製品開発や普及が進むと考えられるため、支援が上手くいくと評価しました。
  • 株式会社フランクジャパン 7.5点
    理由: 物流やトレーサビリティの改善はモザンビークの産業発展に貢献しますが、現地の法制度やインフラ整備の課題への対応が必要です。JICAと連携してこれらの課題を解決できれば、支援が上手くいくと評価しました。
  • 辻プラスチック株式会社 7点
    理由: プラスチック製品の需要が増えることは確かですが、環境への配慮やリサイクル技術の普及が課題です。JICAの支援を受けて環境に配慮した製品開発やリサイクル技術の普及が進められれば、支援が上手くいくと評価しましたが、他社に比べてやや低いと評価しました。

この評価はあくまで全体的な項目をベースに行っており、JICA支援など目線を変えることで同じレポートでもしっかり評価が変わり、どこが違うのかもきちんとレポートしてくれます。今回は実施しておりませんが、例えば辻プラスチック株式会社が得意な「夜間の交通安全対策に資する自発光道路鋲」が得意とする分野にフォーカスしたりすることで大きく評価は変わりますが、人間では評価が難しい文章をChatGPTが第三者目線で評価をしてます。

まとめ

この記事では、ChatGPTがモザンビーク進出を検討する5つの日本企業に対して、独自の評価を行うことで、その優れた文章評価能力を示しています。また、この評価を活用することで、さまざまな分野での意思決定や戦略立案に貢献できることがわかります。

具体的には、ChatGPTが企業のビジネスチャンスやJICA支援による成功可能性について、独自の評価基準で点数化し、具体的な理由を提示することで、各企業がモザンビーク市場でどのような機会や課題に直面しているかを明確にしています。これにより、企業は自社の市場進出戦略をより具体的かつ効果的に立案できるでしょう。

また、ChatGPTはさまざまな分野での情報を網羅し、適切な評価を行うことができるため、例えば新市場開拓や投資判断、競合分析などの業務にも活用可能です。このように、ChatGPTを利用することで、企業や組織はさまざまな分野で効率的かつ正確な意思決定を行い、発展の道筋を築くことができます。

関連リンク

最後に

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