Azure ExpressRouteを解説 【シリーズ Azureサービスいちから紹介】

このエントリはQiita Advent Calendar 2017 Microsoft Azureサービスいちから紹介 の14日目です。

ナレッジコミュニケーションの大柳です(@oyngtmhr)

14日目はAzure ExpressRouteです。

概要

Azure ExpressRouteは、専用線を利用してAzureデータセンターと自社データセンター、オンプレサーバを接続することができるサービスです。インターネットを経由しないので、安定した品質の回線で、機密情報などの情報を安全にAzureデータセンターと通信することができます。

機能

・接続モデル

3つの接続形態があります。

CloudExchangeでのコロケーション(同一場所配置):データセンターに配置されたネットワーク機器から専用線を介してAzureと通信する。
ポイント間(ポイント・ツー・ポイント)のイーサネット接続:自社のオフィスやデータセンターから専用線を介してAzureと通信する。
Any-to-Any(IPVPN)接続:IPVPN網を介してAzureと通信する。

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/expressroute/expressroute-connectivity-models#CloudExchange から引用

また、利用するサービスに合わせて3つの経路が提供されます。

Microsoftピアリング:Office 365やDynamics 365などのサービスにプライベートなネットワークでアクセスできます。
Azureパブリックピアリング:Azure Storage、SQL Databaseなど、パブリックIPでアクセスするサービスと通信できます。
Azureプライベートピアリング:Azureの仮想ネットワーク内にある仮想マシンやサービスと通信できます。

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/expressroute/expressroute-circuit-peerings から引用

・回線
50Mbps、100Mbps、200Mbps、500Mbps、1Gbps、2Gbps、5Gbps、10Gbpsの回線速度が提供されます。
日本国内では東京と大阪で以下のプロバイダーを利用できます。

東京:Aryaka Networks、AT&T NetBond、British Telecom、Colt、Equinix、Internet Initiative Japan Inc. – IIJ、Level 3 Communications、NTT Communications、Softbank、Verizon
大阪:Equinix、Internet Initiative Japan Inc. – IIJ、NTT Communications、NTT SmartConnect、Softbank

・冗長性

ExpressRoute回線はルーター間で二重化されています。
さらなる冗長性が必要な場合は、異なるプロバイダーの回線を使用して二重化したりIPVPNを組み合わせた二重化も可能です
いろんなパターンの接続ができます。Tech Summit 2017のセッション「CLD015 百戦錬磨のAzureアーキテクトが語る、Azure Virtual Machines設計の勘所」の資料が分かりやすかったのでリンクを載せておきます。

https://www.slideshare.net/Microsoft_TechSummit_2017/japan-tech-summit-2017-cld-015/31 から引用

その他

・接続を壊さずにExpressRoute回線の帯域幅を増やすことができます。でも減らすことはできない。

・ExpressRoute Premiumアドオンを追加すると機能がさらに強化できる。ルート上限が増えたり、ExpressRouteからすべてのリージョンにアクセスできたりするようになる。

料金

・無制限データプランと従量制課金データプランがある。Premiumアドオンを使う場合にはさらに費用が上乗せになる。

・無制限データプランは、ExpressRoute回線は月額料金が課金され、受信・送信ともデータ転送量に応じた課金はない。

・従量制課金データプランは、ExpressRoute回線は月額料金が課金され送信データにGB単位で課金されます。受信は無料。

・従量課金制の場合の、データ転送料金は地域によって異なる。ゾーン1では2.55円/GB、ゾーン2では5.10円/GB、ゾーン3では14.28円/GB。日本はゾーン2。
ゾーン 1: 米国西部、米国東部、米国中北部、米国中南部、米国東部 2、米国中部、西ヨーロッパ、北ヨーロッパ、カナダ東部、カナダ中部
ゾーン 2: 東アジア、東南アジア、オーストラリア東部、オーストラリア南東部、東日本、西日本、韓国中部、韓国南部、インド南部、インド西部、インド中部
ゾーン 3: ブラジル南部

まとめ

Azureを使いたいけどインターネットを使った通信は機密情報があるからちょっと、という場合にExpressRouteを使えば、セキュアに、高品質な回線を利用して通信を行うことができます。例えば、Azure Stackを自社データセンターにおいて、Azureデータセンターとの間はExpressRouteでつなぐ構成などが、これからますます増えていきそうです。

この記事を書いた人

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