はじめに
※本記事で扱う「ナレコムAI Agent Studio」は弊社(ナレッジコミュニケーション)が開発・提供するサービスです。本記事は技術検証レポートとして執筆しています。
今回は、ナレコムAI Agent Studioに新たに追加されたAIアシスタント機能を使って、複雑なワークフローをAIとの対話のみで作成してみたいと思います。
こういうツールを使ってちょっと複雑なワークフローを作ろうと思うと
・どのノードを使えばいいだろう?
・どういう順番に繋げばいいだろう?
となかなか手が動かないことがありますよね?
例えば以下のような複雑なワークフローを自分の手で作ろうと思うと、特に初心者の方はどこから手を付ければいいかわからないと思います。

この記事では、ナレコムAI Agent StudioのAIアシスタント機能を活用することで、このような複雑なワークフロー作成がどれだけ簡単になるか、実際にワークフローを作成しながら紹介していきます。
「AIアシスタントで自然言語からワークフローを作るって、実際どれくらい簡単なの?」という方の参考になればうれしいです。
ナレコムAI Agent Studioとは
ナレコムAI Agent Studioは、ノーコードでワークフローを設計・実行できるAIエージェント構築プラットフォームです。
さらに2026年3月4日にAIアシスタント機能(紹介動画が開きます)が追加され、チャットボットに「こういうワークフローを作りたい」と話すとAIが自動でノードを繋いでワークフローを作成してくれるようになりました。
もちろん、作ってくれたワークフローを動かしてみて、修正したい部分があればAIアシスタントと対話を進めながら修正することもできます。
※AIにも修正できない内容は、自力で修正する必要がある場合もあります。
今回はこのAIアシスタント機能を使って、
「自然言語でワークフローを生成する → そのまま使う → 対話を通じて修正していく」
という流れを試していきます。
今回作成するワークフロー
今回作成するワークフローのテーマは「会社に電話がかかってきたことを想定した電話対応ロールプレイチャットボット」です。
新入社員が社外からの電話を受ける場面を想定し、どのような問答を行えばよいかをチャット形式で練習できるようにし、最後は会話ログをもとに自動で評価できるところまで試しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | 電話対応ロールプレイ |
| 対象者 | 新入社員 |
| 入力 | シナリオ、会話履歴、相手の最後の発言、自分の応答、マニュアルPDF |
| 出力 | 相手役応答、応対評価、更新後の会話履歴 |
| ゴール | ロールプレイと自動評価を最後まで回す |
主な流れとしては
1. かけてくる相手のシナリオを作成する
2. 新入社員が電話を受けたという体で、チャット形式で会話のやり取りを進める
3. 都度会話ログを保存する
4. 最後に会話内容を自動評価する
という感じです。
実際に作ってみた
AIアシスタントを開く
早速ワークフロー作成画面を開いてみましょう。
エディタの右上にAIアシスタントがいます

AIアシスタントをクリックすると、AIアシスタントとのチャットメニューが開きます。

プロンプトを作成する
今回作成したいワークフローの仕様書を作成し、AIアシスタントに作成を指示します。
当初は以下のようなプロンプトでAIアシスタントに指示していました。
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電話対応のロールプレイングを行うチャットボットを作成したい 与えられたシナリオに沿って様々なシチュエーションでの電話対応を文字チャット形式で練習できるものにしたい 内容としては、社内電話に電話がかかってきたのを対応する(営業をホームページのフォームへ誘導する、担当者に回す 最終的に応対の内容を評価できるようにしたい アウトバウンドや電話応対についてはPDFのマニュアルがあるため、それを参照して応答や評価の参考にしてほしい |
しかし、このようにシンプルなプロンプトでは
・実装してほしい思った機能が実装されない
・入出力の形式が異なっている
など、AIアシスタントがうまくワークフローを作成してくれませんでした。
そこで私は、このプロンプトをナレコムAI Chatbotに渡して対話を行い、以下のようにブラッシュアップしてもらいました。
※ナレコムAI Chatbotは、ナレコムAI Agent Studioと同様に弊社(ナレッジコミュニケーション)が開発・提供している生成AIチャットボットサービスです。
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以下の内容のチャットボットを作成してください ~~~~~~~~~~~~~ あなたは、社内電話対応のロールプレイング用チャットボットです。 ユーザーは「社内にかかってきた電話を受ける担当者」として練習します。 あなたは電話の相手役として、与えられたシナリオに沿って自然な会話を行い、最後に応対を評価します。 # 目的 - 社内電話対応の練習を行う - 電話応対の基本、取り次ぎ、営業電話の案内などを実践的に学べるようにする - 会話終了後に、応対内容を評価・フィードバックする # 参照情報 - アウトバウンド・電話応対に関するPDFマニュアルの内容を優先して参考にする - ただし、会話中はマニュアルをそのまま読ませるのではなく、ロールプレイとして自然な電話応対を行う # 会話の役割 - あなたは「電話をかけてきた相手」または「電話の相手先」として振る舞う - ユーザーは毎回、直前の自分の発話のみを入力する - あなたはその発話を受けて、文脈を保持しながら会話を続ける - ユーザーが電話応対の練習をできるよう、相手役としてリアルな反応を返す # 会話の基本ルール - 返答は日本語 - 実際の電話会話に近い、短く自然な応答を行う - 一度に長く話しすぎず、相手が応答しやすい長さにする - ユーザーが確認すべき情報を聞き返された場合は、自然な電話のやり取りとして応答する - 会社名、氏名、用件など、必要に応じて名乗る/聞く - 営業電話の場合は、ホームページのフォームへ誘導される流れを想定し、それに応じた反応をする - 担当者宛ての場合は、取り次ぎを求める流れを作る - 不自然なメタ会話は避け、あくまで電話相手として振る舞う # シナリオの扱い - 与えられたシナリオに応じて、以下のような状況を出し分ける 1. 営業電話への対応 2. 担当者への取次ぎ 3. 用件確認 4. 不在・席外し・折り返し案内 5. 丁寧な断り方 6. ホームページの問い合わせフォームへの案内 - 可能なら、難易度や状況を少し変えて複数パターンを作る # 重要な制約 - 会話中に評価は返さない - 会話中は「今の応対は良かったです」などの採点・講評をしない - ユーザーが会話終了を示すまで、ロールプレイを継続する - 会話終了時にのみ、評価をまとめて返す # 会話終了の扱い - ユーザーが「終了」「評価して」「振り返りをお願いします」などの終了意図を示したら、ロールプレイを終える - 終了後は、以下を含む評価を返す # 評価項目 1. 総合評価(例: 5段階) 2. 良かった点 3. 改善点 4. 電話応対として不足していた点 5. より適切な返答例 6. 次回の練習ポイント # 評価基準 以下の観点で評価すること - 名乗りの適切さ - 用件確認の適切さ - 取り次ぎ判断の適切さ - 営業電話への案内の適切さ - 丁寧さ・敬語の適切さ - 相手への配慮 - 話の簡潔さ - 社内電話応対としての自然さ - マニュアル内容への準拠 # 出力形式 - 会話中:相手役としてのみ応答する - 会話終了後:評価を箇条書きで分かりやすく示す # 追加ルール - ユーザーが入力した直前の発話だけを見て、前後関係は会話履歴として保持する - 状況に応じて、相手の温度感(急いでいる、丁寧、営業感が強い等)を自然に変える - 必要以上に攻撃的・不快な応対にはしない - 練習の目的を損なわない範囲で、リアルな電話対応を再現する # 開始時の振る舞い - 最初に、ユーザーの元へ電話がかかってきた場面から自然に会話を開始する - 例: 「お忙しいところ失礼します。〇〇株式会社の△△と申します。御社のご担当の方はいらっしゃいますか?」 |
こちらのプロンプトをAIアシスタントに渡して、改めてワークフローを作成してもらいました。
作成中、AIアシスタントからこのように作成するワークフローの内容について質問してくれることがあるため、適宜回答します

完成したワークフローを確認する
しばらく待つとAIアシスタントが自動でノードを繋ぎ、ワークフローを作ってくれました。

今回やりたかったのは、まさにこの部分です。
・ワークフローを自分で一から組まなくてよい
・必要な要素がまとまった状態で出てくる
最初の段階でもノードが複数に分岐したり合流したりと少し複雑なため、ここまでの作成の労力を省けるのはありがたいですね。
AIアシスタントでワークフローを修正する
さらに修正を行うとAIアシスタントが提案しているため、チャットで指示していきます。
何度か応答を繰り返しながら調整をしていくと、冒頭で紹介したような複雑なワークフローが完成しました。

AIアシスタントが生成したワークフローを確認し、想定どおりの流れになっているかを見ます。
今回は、細かいロジックをいじるというよりAIアシスタントが作ったフローをそのまま使ってみることを重視しました。
その結果、ノーコードで作成しているにもかかわらず、
「電話対応の練習をする」→「会話を進める」→「最後に評価する」
という流れが自然につながっていて、初回の検証としてはかなり扱いやすかったです。
ワークフローの構成
今回のワークフローの構成は以下のようになっています。
[入力ノード]
1. シナリオ
役割: どんな電話応対シーンにするかを指定します。
例:新規問い合わせ、クレーム対応、予約変更、受付案内
2. これまでの会話履歴
役割: 直前までの会話内容を入れます。
使いどころ: 続きの会話を自然にするために使います。
3. 相手の最後の発言
役割: 相手が最後に何と言ったかを入力します。
使いどころ: 次の返答生成や履歴更新に使います。
4. 自分の応答
役割: あなたが返した内容を入力します。
使いどころ: 会話履歴の更新や評価に使います。
5. 電話応対マニュアルPDF
役割: 応対が適切だったかの評価基準に使用します。
[出力ノード]
1. 相手役応答
役割: 電話の相手役として、次の発言を生成して表示します。
2. 応対評価
役割: あなたの応対を評価して表示します。
3. 更新後の会話履歴
役割: 新しい発話を反映した会話履歴を表示します。
4. 次ターン用の相手の最後の発言
役割: 次の会話ターンで使う「相手の最後の発言」を更新して表示します。
[使い方の流れ]
0. 電話応対マニュアルPDF をアップロード
1. マニュアルをテキスト抽出
・PDFの内容をテキスト化します。
2. 以下のノードにシナリオや会話情報を入力
「シナリオ」「会話履歴」「相手の最後の発言」「自分の応答」
※会話を始める前は空欄で可
3. ワークフローを実行し、相手役の応答を生成
・マニュアルと入力内容をもとに、相手役の返答が生成されます。
4. 会話履歴を更新
・新しいやり取りを「これまでの会話履歴」「相手の最後の発言」に反映します。
※ここは手動で行う
5. 2に戻り、相手の発言をもとに「自分の応答」を入力して再び相手役の応答を生成します
・2~5を繰り返すことで電話応対のロールプレイが可能となります。
6. 応対を評価
・マニュアルや会話内容をもとに、会話が終了すると応対の評価が生成されます。
ロールプレイを試してみる
ワークフローを実行すると、電話対応ロールプレイが始まります。
ここでは、新入社員役として会話を進めてみます。
次の画像はロールプレイを進めた途中経過です。

会話の途中ですが、このように自分の応答を入力すると、会話履歴と相手の返答が返ってきます。
今回は相手役のLLMとしてGPT4.1-miniを用いているためやや返答が的外れなこともありますが、「電話を受ける練習」として十分使える形になっているのがわかりました。
自動評価をしてもらう
また、最後に「終了」と指示すると、これまでの応対を踏まえて以下のような評価をしてくれました。
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1. 総合評価(5段階) 4:丁寧でわかりやすく対応されており、マニュアルに則った適切な応対ができていました。 2. 良かった点 ・相手が新規問い合わせであることを確認し、マニュアル通りにホームページの問い合わせフォームへの案内を行った点。 ・応対が丁寧で、相手に安心感を与えている。 ・途中で具体的なアクセス方法(トップページからの誘導)もわかりやすく説明できている。 ・最後の挨拶も礼儀正しく、良い印象を与えている。 3. 改善点 ・「問い合わせフォームにございますので」と案内するときに、具体的なURLや問い合わせフォームへの行き方(メニューのどこにあるか等)を補足できるとさらに親切。 ・「問い合わせていただければと思います」など、「思います」という表現はやや曖昧な印象を与えるため、「ご利用ください」などもう少し断定的に案内してもよい。 4. 電話応対として不足していた点 ・折り返しや伝言の確認・復唱のプロセスは不要なため問題なし。 ・相手の会社名や自身の所属と名前の明示の部分が会話履歴として確認できなかったため、自己紹介や相手の会社名確認をもう少し積極的に行うとさらに良い。 5. より適切な返答例 「お問い合わせいただきありがとうございます。弊社のホームページのトップページから『お問い合わせ』メニューを選んでいただくとフォームがございます。そちらからご連絡いただけますようお願いいたします。」 6. 次回の練習ポイント ・自己紹介や相手の会社名の確認をより丁寧に行う練習。 ・案内時に具体的で分かりやすい説明を心掛けること。 ・断定的かつ丁寧な言い回しで案内できるようにする。 7. マニュアル内容への準拠コメント ・「新規営業・新規提案は原則HPフォームへ案内」というマニュアル指示に忠実に従い、電話の取り次ぎを避けて対応できている点が優れている。 ・「確認いたしますので少々お待ちください」など判断前の一呼吸を入れる対応も適切に実践されている。 ・最後の折り返しメモ・復唱・社内連携は不要なケースと判断し、シンプルに対応している点も良い。 |
ここで見たかったのは、次の2点です。
・会話の流れがログとして残っているか
・その内容をもとに、評価が自動で出るか
今回は、会話ログが確認できるだけでなく、最後に評価も自動で表示されるので、振り返りがしやすいと感じました。
特に新人教育の場面では、「どこがよかったか」「どこを直すとよいか」がその場で見えるのは便利だと感じました。
AIアシスタントを使って分かったこと
今回の検証で特に良かったのは、AIアシスタントに自然言語で伝えるだけで、ワークフローの叩き台がすぐ作れたことです。
ノーコードで作成するときに一番時間がかかるのは、最初の設計を考える部分だと思うのですが、そこをかなり短縮できました。
一方で、仕様書(プロンプト)作成にはひと工夫が必要でした。
前述の通り、当初はシンプルなプロンプトを用いてAIアシスタントに作成を依頼しましたが、非常に簡単なワークフローしか作れず、機能の追加や修正に非常に手間がかかりました。
今回はチャットボットを用いて仕様書をブラッシュアップし、ワークフロー作成を一から指示しなおしたところ、作成されるワークフローのクオリティも上がりました。
AIアシスタントに作業を任せるプロンプトを作成する際はチャットボットなどを活用し、なるべく曖昧な部分を減らし、細かい部分まで詰めたプロンプトを用いた方が後から修正を行う手間が減ると感じました。
「叩き台はAIに任せ、細かい部分を最終的に自分の手で修正する」という流れは、仕様書作成、ワークフロー作成ともに共通で活かせる工夫でした。
さいごに
今回は、ナレコムAI Agent StudioのAIアシスタント機能を使って、電話対応ロールプレイ用のワークフローをノーコードで作成し、実際のロールプレイと応対評価まで確認するところまで試しました。
使ってみて感じたのは、
「ワークフローを一から組む」よりも、「まずAIに叩き台を作ってもらう」ほうが圧倒的に始めやすい
ということです。
初めてワークフローを作るときほど、最初の一歩が重くなりがちですが、AIアシスタントがあるとそのハードルがかなり下がります。
皆さんもぜひAIアシスタントと協力してワークフローを作成してみてください。

