今回はAzureをご利用している皆さんに関わる知的財産(IP)保護プログラム「Azure IP Advantage」について紹介致します。
1.知的財産?
知的財産(intellectual property)とは、一般には「人間の知的活動によって創作された表現や、商業上有用になりうる情報や標識など、財産制のある無体物」を意味します。
※IT用語辞典e-Wordsより引用「http://e-words.jp/w/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%B2%A1%E7%94%A3.html 」
簡単に言えば、Azure上で稼働しているサービスも知的財産となります。
しかし、こういった知的財産の特許をめぐって訴訟が起こるのはよく聞く話です。
そして一度訴訟が起こされると、高い裁判費用や裁判所出頭の手間、世間の風当たりなど、事業に対して甚大な悪影響が生じます。
そこで、先日Microsoftが発表したのが「Azure IP Advantage」です。
https://azure.microsoft.com/en-us/overview/azure-ip-advantage/
2.Azure IP Advantageとは
Azure IP Advantage は、Azureで稼働するサービスに関する知的財産の権利を保護してくれるプログラムです。
以下の3項目が発表されております。
・単にAzureが提供するサービスのみならず、Azure HD Insightに使用されるHadoop等のオープンソース技術なども対象となります。
・Azure上で実行されるサービスに対する特許訴訟が起こった際、正当性主張の根拠としてMicrosoftが保有する10000の特許(現時点では7500)を利用可能になります。
※特許利用の為には下記条件があります。
①過去3か月にわたって月額1,000米ドル以上のAzure利用があること。
②過去2年間で他のAzure顧客のワークロードに対して特許侵害訴訟を起こしていないこと。
③2017年2月8日(プログラム発表)以後に発生した特許訴訟である証拠を示すこと。
・Azureが保有している特許をNPE(Non Practicing Entity)などの外部会社に譲渡する場合、これらの特許を将来的に主張できない誓約を結ぶことを宣言しています。つまり、仮に移転が行われた場合もAzureで使い続けていた特許技術に対して、特許侵害で訴えることができないということです。
これまでそのような移転を伴う慣行は無いとのことですが、Azureを利用し続ける上で大事な条項だと言えます。
3.まとめ
今回のAzure IP Advantageの発表内容自体は「特許訴訟を起こされたときに正当性を主張できるようAzureがサポートする」というようなものですが、逆に言うと「自社で特許訴訟に備えなくても戦うことができ、自分たちのビジネスに注力できる」ということであり、クラウドを利用するユーザー全てにとって大事なことだと感じています。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、米国では特許訴訟が頻繁に行われており、特に新興企業に対して特許侵害を主張して使用料を要求する事例が多いと聞きます。
グローバルにサービス展開ができるクラウドだからこそ、そういった部分を保証してくれるプログラムは今後スタンダードになっていくのではないかと思います。
次回もお楽しみに!