OpenAIとAzure OpenAI Serviceの比較: 10分で出来るOpenAIからのスムーズな移行ガイド

本記事では、OpenAIとAzure OpenAI Serviceの違いと移行方法について解説します。それぞれのプラットフォームの概要を紹介し、両者の機能や価格、利用制限、サポートなどの違いを比較していきます。さらに、移行における注意点や事前準備を説明し、スムーズな移行を実現するための手順とベストプラクティスを提供します。この記事を通じて、AI開発者やエンジニアが適切なプラットフォームを選択し、効果的な移行が行えるようになることを目指しています。

スムーズな移行のための手順とベストプラクティス

本章では、Pythonで実際の移行プロセスをステップバイステップで紹介し、効率的かつ円滑な移行を実現するためのベストプラクティスを提案します。

OpenAIとAzure OpenAI Serviceの互換性が非常に高く、以下の変更を行うだけで簡単に移行できます。
※セキュリティを考慮して環境変数に設定することが推奨ですが、わかりやすくするためハードコーディングしています。

OpenAI

※API-KEYはOpenAIの“View API keys”で取得可能

Azure OpenAI Service

※RESOURCE-NAMEはAzure Portal上でAzure OpenAI Serviceを作成する時に設定したリソース名
※API-KEYはAzure OpenAI Serviceのリソース内の”開発”で取得可能

このようにOpenAI⇒Azure OpenAI Serviceに移行するにはわずか4項目を設定するだけです。次に記述があるようにモデルをデプロイする必要はありますが、プログラムそのものは変更が不要でスムーズに移行できることが魅力です。

以下の点にも注意が必要です。

API Keyのフォーマットが違う

サービス API Key
OpenAI sk-***********************
Azure OpenAI Service ***********************

モデルの利用方法に違いがある

サービス モデル利用方法
OpenAI 特に設定不要で70種類を利用することが出来る
Azure OpenAI Service 事前にデプロイしたモデルが利用できる。また、デプロイ出来るモデルも9種類

※2023年3月現在

一見、Azure OpenAI Serviceの方が利用制限が多いように思えますが、サポートされている9種類以外のモデルは使い方が難しく実用性が低いため、実際には大きな違いは感じられません。

また、リソース制限(例えば、OpenAIでは1ヶ月に$120までの利用が可能、Azure OpenAI Serviceでは順番待ちが必要)などが存在しますが、これらの条件は日々変化するため、現時点での詳細な比較は行いません。

移行ステップ

  1. Azure PortalからOpenAIの利用申請
  2. 利用許可が来たらOpenAI Serviceのリソース作成
  3. Azure OpenAI Studioでモデル(gpt-35-turboなど)をデプロイ
  4. OpenAI ServiceのリソースからAPI Keyを取得
  5. 上記にあるようにコードのキー設定を変更

ここからOpenAIとAzure OpenAI Serviceは何が違うのかを説明していきます。

OpenAIとAzure OpenAI Serviceの概要

OpenAIは、AI技術の研究開発を行う世界的なリーディングカンパニーです。GPTシリーズやDALL-Eなど、強力なAIモデルを生み出し、幅広い産業分野で利用されています。一方、Azure OpenAI Serviceは、マイクロソフトが提供するクラウドベースのAIプラットフォームで、OpenAIの技術を独自に統合し、簡単な操作でAI開発を支援します。

OpenAIは、AI技術の開発や研究に焦点を当て、高度なAIモデルやAPIを提供しています。一方、Azure OpenAI Serviceは、マイクロソフトのAzureクラウド環境を活用し、ユーザーがOpenAIの技術を手軽に利用できるようにすることを目的としています。

両者のプラットフォームは、AI開発者やエンジニアにとって重要な選択肢となっており、適切なプラットフォームを利用することで、効率的なAI開発が実現できます。

OpenAIとAzure OpenAI Serviceの主要な違い

OpenAIとAzure OpenAI Serviceの機能、価格設定、利用制限、サポートなどの違いを比較し、それぞれのプラットフォームの特徴を把握します。

機能 OpenAIは、強力なAIモデルやAPIを提供しており、自然言語処理や画像認識などの分野で幅広く活用されています。一方、Azure OpenAI Serviceは、OpenAIの技術をAzureクラウド環境に統合し、独自の機能やサービスを提供しています。

特に、最新の機能はOpenAIからリリースされますが、新たに発表されたChatGPT pluginsなどがAzure OpenAI Serviceで利用できるかどうかは不明です。

価格設定 OpenAIは、APIの利用量に応じた従量制の料金プランを提供しています。一方、Azure OpenAI Serviceは、マイクロソフトのAzure環境で提供されるため、Azureのサブスクリプションプランに含まれる料金体系が適用されます。

2023年3月現在の各モデルを比較することで、料金体系の違いがわかります。GPT-4の料金も追記しました。
※ChatGPT (gpt-3.5-turbo)についてはリージョン変更することで確認できました。ありがとうございます。

モデル (1K tokensあたりの料金) OpenAI Azure OpenAI Service
Prompt Completion Prompt Completion
GPT-4 8K context $0.03 $0.06 $0.03 $0.06
GPT-4 32K context $0.06 $0.12 $0.06 $0.12
ChatGPT (gpt-3.5-turbo) $0.002 $0.002
Davinci $0.02 $0.02
Davinci Fine-tuned models OpenAI Azure OpenAI Service
training $0.03 $0.02+compute
Usage $0.12/1k token $3/Hosting Hour

そのままモデルを利用する場合は同じ金額ですが、Fine-tuningについて料金が異なります。Azure OpenAI Serviceのほうが高めですが、Azureのリソース内で利用できるメリットがあります。

利用制限 OpenAIは、利用制限やアクセス制御を設定できますが、これらはAPIキーによって管理されます。一方、Azure OpenAI Serviceは、Azureのポリシーに基づいて、より細かいアクセス制御やリソース管理が可能です。

サポート OpenAIでは、公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを通じてサポートが提供されます。一方、Azure OpenAI Serviceは、マイクロソフトのAzureサポートチームがサポートを提供し、より充実したサポート体制が整っています。

これらの違いを把握することで、AI開発者やエンジニアは、自分たちのニーズや要件に合ったプラットフォームを選択できるようになります。

移行におけるポイントと注意事項

OpenAIからAzure OpenAI Serviceへの移行において注意すべきポイントや、どのような事前準備が必要かを解説します。

移行計画の策定 移行プロセスをスムーズに進めるために、事前に計画を立てることが重要です。プログラム上は大きな変更は不要であるものの、どの機能やサービスが移行対象であるかを特定し、移行作業のスケジュールやコスト試算を行い決定してください。

APIの変更点の確認 OpenAIとAzure OpenAI ServiceのAPIには、前述の通りいくつかの違いが存在します。移行前にAPIの変更点を確認し、必要に応じてコードの修正やアップデートを行ってください。

テストと検証 移行作業が完了したら、機能やパフォーマンスが正常に動作することを確認するために、十分なテストと検証を実施してください。問題が発見された場合は、適切な対応を行い、移行が成功裏に完了するように努めてください。

これらのポイントと注意事項を把握し、適切な事前準備を行うことで、OpenAIからAzure OpenAI Serviceへの移行がスムーズに実行できるでしょう。

まとめ

本記事では、OpenAIとAzure OpenAI Serviceの違いと移行方法について、スムーズな移行が可能であることを強調しながら解説しました。概要と主要な違いを理解し、移行におけるポイントと注意事項を把握することで、効果的な移行計画を立てることができます。また、具体的な移行手順とベストプラクティスを遵守することで、円滑な移行プロセスを実現できます。

OpenAIとAzure OpenAI Serviceは、それぞれ独自の利点と特徴を持っており、AI開発者やエンジニアのニーズや要件に応じて適切なプラットフォームを選択することが重要です。本記事を参考に、最適なAIサービスを活用し、効果的なAI開発を実現してください。今後も技術の進化やプラットフォームのアップデートに注意を払い、常に最新の情報に基づいて適切な選択を行いましょう。

この記事を書いた人

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